先日、那覇市のナハテラスにて、九州大学理事・副学長 石橋先生の『糖尿病黄斑浮腫』についての特別講演が行われました。石橋先生は、私が九大眼科入局時の主任教授で、在籍中もずっとお世話になった先生です。今回はDMEの病態から病理学的所見、硝子体手術の際に採取した増殖膜や内境界膜の電子顕微鏡所見などとても興味深いものでした。鹿児島の坂本先生のTAによる硝子体の可視化や、佐賀大の江内田先生のBBGによる内境界膜の可視化など、現在の硝子体手術の手術補助剤として主に使用されているものは、九大出身の先生方が関わっていることのすごさを改めて感じました。血液網膜関門(BRB)において、内皮細胞間のタイトジャンクションを構成するタンパク質であるClaudin-5の発現維持にROCKが関与しているとのことで、ROCK阻害剤を使用することで血管透過性亢進を抑制し、それがDMEの治療に繋がる可能性があるなど、今後の臨床応用に向けての最新のお話も伺えました。懇親会でも久しぶりに色々をお話ができ、とても有意義な時間を過ごせました。(担当 安里)
2019.03.04更新
Kowa Ophthalmology Forum
平成31年3月2日に興和製薬によるKowa Ophthalmology Forumが開催されました。
①リパスジル点眼追加加療12カ月の成績ちばなクリニック眼科上原千晶先生 ②早期治療の導入~PPGとMIGS北里大学医学部眼科 主任教授庄司信行先生 ③角膜内皮治療のアップデート京都府立医科大学感覚器未来医療学教授木下茂先生
の講演がありました。OCT機器の発達により様々な所見を他覚的に分析することができる様になりましたが、PPGの概念も新しくでてきて、視野検査でも異常がでない早期の段階で緑内障治療を開始することが増えてきました。高度近視に伴う近視性の視神経変化のある方や乳頭出血を繰り返す方は緑内障になるリスクが高いということでした。また、緑内障点眼加療を開始しても脱落する方が1年間で4割近くもおられるとのことでした。やはり、緑内障に対する知識の啓蒙や点眼加療の重要性について繰り返し一人一人の患者さんに説明することが大切であることを痛感しました。
また、角膜感染症に対する抗生剤の濫用は多剤耐性菌を作ってしまうことや、LASIK術後の感染症は、黄色ブドウ球菌や真菌、非定型抗酸菌が三大原因菌であること、術後眼内炎の原因菌は黄色ブドウ球菌と腸球菌であること、コンタクトレンズ装用に伴う感染症は、黄色ブドウ球菌やアカントアメーバ、セラチアが多いことなどとても勉強になりました。角膜内皮は再生しないと昔から言われており、緑内障のレーザーや白内障術後に角膜内皮減少に伴う水疱性角膜症の出現がありましたが、現在ではPKPだけでなく、DSAEKなどの角膜内皮移植手術も進歩してきております。最近は、角膜再生医療も発達してきており、口腔内角膜シートの移植だけでなく、直接細胞を前房内に注入する方法も京都府立では行われている様です。
iPS細胞による内皮細胞の再生技術が確立されると、多くの患者さんにとって朗報となると思います。今後の発展に期待します。(担当 末吉)
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